日本の絶滅古生物図鑑、読んでみました。案外いいかも。
宇都宮聡+川崎悟司 著
築地書館 2,200円+税 A5判並製 160頁オールカラー 2013年1月刊行 ISBN978-4-8067-1453-8
先に紹介した、「日本の恐竜図鑑」の姉妹本。ちょっとディープな恐竜ファンなら、日本の恐竜の主な産出地や記載された恐竜について、空で言えるだろう。でも、それ以外の古生物についてはどうだろうか。断片的な知識として知っていても、日本全国となると怪しいもの。さらに、それぞれの化石がいつの時代なのか、さらに覚束なくなるだろう。一般の人なら、「こんなの、いたのー?」にならないだろうか。
私も、そういう一人。この本は、無脊椎から哺乳類まで日本産の主要な古生物をおさえてある。ハンディで簡潔な説明プラス生態復元イラストや標本写真がついているので、便利。もちろん、全ての古生物ではない。著者が「特に気になった古生物たちを独断と偏見で選び」ぬいたもの。個人的には、なんでカガナイアスが抜けているの?とかニホンカワウソって古生物?とかいう思いはある。
しかし、本書の便利さと魅力が薄れるものではない。展示標本と簡単な説明だけでは通り過ぎるところ、本書を持てば、その内容がプラスされて濃い印象が残る。歴女ならぬ絶女(化女や石女ではいい意味がないので。恐竜だけなら恐子だが)が新たに出現するのでは?と空想さえする。本書を片手に博物館で化石標本を見る人も、これから現れるのではないだろうか。この魅力的な生き物たちに、ぜひ出会ってほしい。
なお、本書では分類名は日本語表記になった。読者にとってより親しみやすくなっている。