始祖鳥の没落をもたらした羽毛恐竜、Xiaotingia

Xiaotingia 生体復元 刑立达と刘毅製作

 中国遼寧省、後期ジュラ紀の地層から産出した羽毛恐竜が、Archaeopteryx (始祖鳥)を最古の鳥類、いや鳥類そのものから追い落としました。

ネイチャー7月28日号に掲載された徐星他による論文で、新しい羽毛恐竜が記載されました。

Xiaotingia zhengi 新属新種です。

Xiaotingia 模式標本

属名・種小名:完模式標本 STM 27-2 を所蔵する、山東省天寧自然博物館(この博物館は、世界最大の恐竜博物館としてギネスブックに掲載されています)の館長、Zheng Xiaoting(鄭暁廷)に献名。 大きさはニワトリ程度だそうです。

 

産地と層準:遼寧省Jianchang(建昌県)Linglongta(玲瓏塔地区)後期ジュラ紀 Tiaojishan(髫髻山)層(約1億5千5百万年前) 詳細な産出地は、ディーラーから購入した標本のため不明。

 

 

 

Xiaotingiaを含めた系統

系統解析では、Xiaoteingia、その羽毛の色が判明して話題になったAnchiornis およびArchaeopteryx とともに、アルカエオプテリクス科を構成します。ここまで読むと、Xiaoteingia は最古の鳥類の一群に属すると理解されそうになります。しかし、この論文では、同科は現生鳥類につながるAvialae(鳥群)の系統ではなく、非鳥獣脚類である、デイノニコサウリア類の中に位置づけられてしまっています。Xiaotingia の記載により、鳥群に特有なものと従来考えられていた長く頑強な前肢など多くの特徴が、実はもっと大きなくくりの分類群である原鳥類(Paraves;鳥群およびデイノニコサウルス類からなる)の特徴であることが示されたということです。

Xiaotingia を含めずに系統解析すると、Archaeopteryx は依然、最も基盤的な鳥類と位置づけられることから、この恐竜が、派生した獣脚類恐竜の進化を考える際、どんなに決定的な意味をもつかが明らかになると、同誌News & Views でLawrence M. Witmer は述べています。

 

Archaeopteryx が現生鳥類の直系の祖先という考え方は以前から採られなくなっていますが、最古の鳥類という王座は、発見から150年の今年まで存続してきました。しかし、Xiaotingia の記載により、デイノニコサウリア類の羽毛恐竜の一種と位置づけられました。これも一つの節目と言えるかもしれません。

Xing Xu, Hailu You, Kai Du & Fenglu Han(2011)

An Archaeopteryx-like theropod from China and the origin of Avialae

Nature 475,458–459(28 July 2011) doi:10.1038/475458a

リンク

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