中国で発見された白亜紀鳥類化石には、種子が含まれている100以上あるそうです。そのため、種子食だったとされるものもあります。しかし、そのう(嗉嚢)があったとする報告は、これまでありませんでした。この研究では、現生鳥類に見られるそのう(嗉嚢)が系統的に離れた複数種の化石鳥類に存在していたとしています。
そのうがあったのは、山東省天寧自然博物館の収蔵標本である Sapeornis と、Hongshanornis 。前者はもっとも基盤的な鳥類、後者は基盤的真鳥類です。両方の標本とも、現生鳥類でそのうがある場所に種子が集まっていること、また、軟組織の輪郭が観察されることから結論づけています。
2種の古鳥類にそのう発見されたことから、本質的に現生鳥類の消化システムが鳥類進化の初期に形成されたことを立証するとしています。またSapeornis と、Hongshanornis は系統的に離れていること、さらに両者の間に位置する鳥類からそのうが報告されていないことから、特殊化した種子食の適応としてそれぞれ独立して獲得されたとしています。さらに、歯の減少や消失が示す、種子に満たされたそのうから、種子食は、初期鳥類の歯の減少をもたらす一つの要因であったことが示唆されるとしています。
Xiaoting Zheng ,Larry D. Martin, Zhonghe Zhou, David A. Burnham, Fucheng Zhang, and Desui Miao
Fossil evidence of avian crops from the Early Cretaceous of China
PNAS doi: 10.1073/pnas.1112694108 アブストラクト