後期白亜紀、米ユタ州からトロオドン科恐竜

後期白亜紀(約7600万年前、late Campanian)、米ユタ州から産出した、これまで北米で報告された中では最も完全なトロオドン科恐竜骨格に基づき、新属新種が記載されています。この時代の北米では、Troodon formosus を除き、同科の記録はこれまでなかったそうです。

Talos sampsoni 復元画
Artwork by Jorge Gonzales

Talos sampsoni  新属新種

属名は、ギリシャ神話に登場する、クレタ島を守護する俊足の自動人形「タロス」から。タロスは胴体にある1本の血管に神の血が流れているが、かかとにある釘を抜くと、失血死してしまう。Talos の俊足さから名づけられた。また、英語のTalonは、鋭い鉤爪を意味する。

種小名は、Kaiparowits Basin Project に貢献した Scott D. Sampson にちなむ。

 

産地と層準:米ユタ州、Grand Staircase-Escalante National Monument 上部白亜系Kaiparowitz 層(約7600万年前 late Campanian)

 

体長約2m、体重約38kgと推定されています。これはトロオドン科としては最小でも最大でもない大きさです。同時代の北米産トロオドン科 Troodon formosus より小柄で細い体格ということです。

 

系統分析では、トロオドン科の中で派生した位置にあります。

 

図の赤で示された部分が発見された標本
Skeletal reconstruction of Talos sampsoni (UMNH VP 19479).

この標本では、鉤爪のついた第2趾をCTスキャンしたところ、骨折し、それが治っていたことがわかりました。骨折の原因として、同種間の闘争あるいは獲物を捕らえる際にということが考えられています。また骨折が治癒するには長期間かかることから、普段の歩行中は鉤爪は地面につけず体重がかからなかったとしています。

トロオドン科の食性については、雑食・植物食の可能性も指摘されていますが、Talos では鉤爪の機能から、獲物を捕らえる肉食だったろうと考えられているそうです。

 

論文

Zanno LE, Varricchio DJ, O'Connor PM, Titus AL, Knell MJ, 2011

A New Troodontid Theropod, Talos sampsoni gen. et sp. nov., from the Upper Cretaceous Western Interior Basin of North America.

PLoS ONE 6(9): e24487. doi:10.1371/journal.pone.0024487

 

ユーレカアラート モンタナ州立大ニュース ナショナルジオグラフィック(日)

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