2007年の研究では、1億6千万年前、小惑星帯でバティスティーナという巨大小惑星に起こった衝突の結果、その破片の1つがユカタン半島に6550万年前に落下して恐竜を絶滅させたのかもしれないということでした。しかし、新しい研究では、バティスティーナに起こった衝突時期は8000万年前で、破片が小惑星帯から出て地球に落下するには時間が足りないそうです。
2007年9月、ネイチャーに発表された論文によれば、バティスティーナ族の親天体に1億6000万年前に起こった衝突により、破片が地球と衝突する軌道にのり、6550万年前に恐竜絶滅をもたらす天体となった確率は90%以上であるとされています。
この2007年の論文は、可視光による小惑星観測により反射率と大きさを推定し、親天体の衝突時期を見積もっています。しかし、今回の結果の元となった、NASAの広視野赤外線調査エクスプローラ(WISE)ミッションの観測では赤外線を使っています。赤外線を使うと、小惑星の大きさをより正確に観測することができるのだそうです。また反射率は可視光観測と組み合わせて再計算することができます。
その結果、バティスティーナ族の親天体の衝突時期は8000万年前であることがわかりました。破片が小惑星帯から出て地球に衝突する軌道に移行するには通常数千万年かかると考えられ、1500万年では時間が短すぎるそうです。
恐竜を絶滅させた真犯人探しは、まだまだ続きそうです。
2007年の研究
William F. Bottke, David Vokrouhlický & David Nesvorný(2007)
An asteroid breakup 160 Myr ago as the probable source of the K/T impactor
Nature 449, 48-53 (6 September 2007) | doi:10.1038/nature06070
2011年の研究著者の一人 Amy Mainzer