皮骨の役割として思い浮かぶのは、体の防御、ディスプレイ、体温調節などですが、初期陸生四肢動物では、これまで誰も気づかなかった役割を果たしていたという論文が発表されました。
Brown大のChristine Janisらの研究によると、皮骨の中でも特に頭蓋天井を覆う部分や肩帯の一部を構成しているものでは、リッジや溝が彫刻をなした複雑な表面をしているのですが、これは血液を含む体液が酸性になるのを防ぐ役割を果たすためだったというのです。
酸性の血って肉を食べたから?ではなく、二酸化炭素の交換機能がまだ発達していないために、血中の二酸化炭素により酸性化したためです。
四肢動物でも体の小さいものは、皮膚呼吸によりガス交換ができ、また水生のものはエラや体表面から交換することができますが、大型の陸生四肢動物では、これらの方法はとれなかったわけです。
四肢動物でも完全水生であった体長1mの Whatcheeria は、少ない皮骨しかなかったし、より水の外で過ごしたPederpes は、より多い皮骨をもっていたということです。
Christine M. Janis, Kelly Devlin, Daniel E. Warren and Florian Witzmann(2012)
Dermal bone in early tetrapods: a palaeophysiological hypothesis of adaptation for terrestrial acidosis
Proc. R. Soc. B Published online before print April 25, 2012,