始祖鳥とアンキオルニスは原始的な羽毛配列の翼だった

アーケオプテリクスと恐竜アンキオルニスの翼の羽毛を調べ、かれらの翼はまだ地上から飛び上がることのできない、原始的な羽毛配列だったとする研究が発表されています。

Illustration by Carl Buell
Illustration by Carl Buell

 イェール大のNicholas R. Longrich らの研究によるものです。これまで、原生鳥類の翼もアーケオプテリクスなどの翼も、羽毛の配列は同様なものと考えられていました。しかし、よく調べてみると、著しい違いがあることがわかりました。

 現生鳥類の翼には、最縁部に長い羽軸をもつ非対称羽である翼羽が生え、その手前には短かく対称羽である覆翼羽が配列されています。この配列は単層であり、翼羽は一枚一枚分かれていて、隙間をつくることができます。

 一方、アーケオプテリクスやアンキオルニスでは、長い翼羽が幾重にも重なりあった配列になっていることがわかりました。このため、羽ばたき中、翼の引き上げを行うときに、翼羽の隙間から空気を逃がすことができません。抗力を最小化できないのです。

 本研究の研究者たちは、アーケオプテリクスなどは、おそらく樹木にのぼり、高所から高速で滑空したり飛行するのに翼を使ったのだろう、低速飛行や地上から飛び上がることはできなかったとしています。

 現生鳥類の羽毛配列とは著しく異なった配列をもつ両者ですが、この二つの間にも違いがあります。アーケオプテリクスは幾重にも重なった長い翼羽を持つのに対し、アンキオルニスでは短く細い対称羽が幾重にも重なった配列になっているそうです。論文では、アーケオプテリクスでは主翼羽が背側および腹側の長い覆羽に覆われているとしています。進化の過程では、アンキオルニスのほうがより早い段階ということです。

 このことから、古代の鳥がこれまで考えられていたよりも原始的なものであり、恐竜と現生鳥類を架け渡す移行状態を示しているものなのだそうです。翼と飛行は、このあと著しく進化したのでしょう。 

イェール大 ブリストル大

Nicholas R. Longrich, Jakob Vinther, Qingjin Meng, Quangguo Li and Anthony P. Russell

Primitive Wing Feather Arrangement in Archaeopteryx lithographica and Anchiornis huxleyi

Current Biology, 21 November 2012 doi:10.1016/j.cub.2012.09.052

アブストラクト

参考:Carl Buell face book

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