モンゴル古生物学センター所蔵の標本 MPC 100/1305 は、サイカニア Saichania chulsanensis として知られてきました。しかし新しい研究では、そうではないという結果が出ています。
サイカニアの標本数は、DINO DATA を見ると3標本となっています。模式標本MPC 100/151と、この論文で議論されているMPC 100/1305およびアメリカ自然史博物館所蔵の標本になるのでしょうか。 100/151 は頭骨および体の前半部、100/1305 に頭骨以外の骨格です。そして、展示されている100/1305 の骨格には、100/151の頭骨が付けられています。
この論文では、100/1305の骨格を100/151と詳細に比較したところ、肩甲骨、上腕骨、中手骨などに違いがみられるとしています。といって、ピナコサウルスと診断されるだけの特徴も持ち合わせていない。
結論として、100/1305標本は、アンキロサウルス科の未定種もしくはピナコサウルス属参照としています。また、採集地・地層も、これまで Khulsan のバルンゴヨト層とされていましたが、Zamyn Khondのジャドクタ層と訂正されています。両地点は数百キロ離れています。
神流町恐竜センターに展示されている標本にも、説明板に影響が出るでしょうか。
ハイライトほにゃ訳
・モンゴル古生物学センター標本 100/1305 は、Saichania chulsanensis として参照できない。
・これまでこの標本のものとされてきた頭骨は100/151のキャストである。
・MPC 100/1305 はバルンゴヨト層ではなくジャドクタ層で採集された。
・MPC 100/1305 はアンキロサウルス科未定種または Pinacosaurus属として参照される
Victoria M. Arbour, Philip J. Currie.(2013)
The taxonomic identity of a nearly complete ankylosaurid dinosaur skeleton from the Gobi Desert of Mongolia
Cretaceous Research vol.46, November 2013, Pages 24–30