米、ユタ州の約7000万年前の地層から産出した化石に基づいて、最古のティラノサウルス科恐竜、Lythronax argestes が記載されました。
ユタ州南部 Grand Staircase-Escalante National
Monumentの約8000万年前Wahweap層(カンパニアン中期)から産出した化石(右上顎、両鼻骨、右前頭骨、左頬骨、左方形骨ほか)に基づき記載されています。
Lythronax argestes 新属新種
属名:'lythron 'ギリシャ語で血のり+'anax'ギリシャ語で王。
→血まみれの王、流血王と訳した報道もあります。
種小名:'argestes 'ギリシャ語でホメロスに出てくる南西の風。ユタ州が北米で南西に位置することから。
推定体長8m、推定体重2.5t
ティラノサウルス科として最古のメンバーであり、このことから、ティラノサウルス科のララミディア大陸(内海によって区切られた北米の西側の大陸)起源を示唆する。
以下、ユタ自然史博物館プレスリリースのファクトシートから。
特徴:細く短い吻部に対し、頭部は幅広い、また眼は正面を向いている。
8,000万年前ということは、これまで知られるティラノサウルス科恐竜のうち最古。
最古のティラノサウルス科恐竜が最も新しい時代のT-REXやタルボサウルスと近縁であるということは、ティラノサウルス科恐竜の大部分が8,000万年前より以前に分岐したに違いないことを意味する。したがって、まだ発見されていないティラノサウルス科恐竜が沢山、発見を待ち望んでいる。
この8,000万年より前のティラノサウルス科恐竜の多様化は、海水面の上昇期と相関し、それはララミディア大陸の異なった地域にかれらを分断し、別々の系統に分かれ進化するようになったのかもしれない。
これは、白亜紀後期のララミディアの多くの脊椎動物についても一般的なパターンで、8000万年前から7400万年前のララミディアの各盆地で非常に多くの種が発見される理由を説明する上で海水面が重要な役割を果たしたのかもしれない。
私たちの分析では、ティラノサウルス科はララミディア北部(北西アメリカ)に起源を発し、時間をかけてララミディア南部に進出し、いくつかの種は白亜紀末(7500~7000万年前)にアジアに移住したことを示している。
Loewen MA, Irmis RB, Sertich JJW, Currie PJ, Sampson SD (2013)
Tyrant Dinosaur Evolution Tracks the Rise and Fall of Late Cretaceous Oceans. PLoS ONE 8(11): e79420. doi:10.1371/journal.pone.0079420 論文
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