米モンタナ州の白亜紀末の地層から産出した化石に基づき、ドロマエオサウルス科恐竜 Acheroraptor temertyorum が記載されています。
Acheroraptor temertyorum 新属新種
属名:'Acheron':ギリシャ神話にある地下の三途の川。産出した地層、ヘル(地獄を意味する)・クリーク層から。+'raptor'ラテン語で泥棒。
種小名:王立オンタリオ博物館に対する貢献のため、James and Louise Temerty に献名。
産地と層準:米モンタナ州、ガーフィールド郡Jordanから南東約45kmのヘル・クリーク層(上部マーストリヒチァン)。
アブストラクトほにゃ訳
北米マーストリヒチアンのドロマエオサウルス科恐竜は主に孤立歯から知られる貧弱な化石記録から知られるが、それらは、より以前のカンパニアンから産出する、より完全な化石に基づいた分類群により参照されている。モンタナ州ヘル・クリーク層から産出した、良好な歯列および関連する歯を伴う殆ど完全な上顎骨に基づき、白亜紀末絶滅イベントの直前であるマーストリヒチアン末のドロマエオサウルス科新分類群を設立する。
Acheroraptor temertyorum gen. et sp. nov. は、他のドロマエオサウルス科恐竜と以下の点で異なる、前眼窩窓の後方にある肥大した後腔壁、上顎窓は眼窩前窩内の低い位置にあり、前上顎窓に対し直に後側にある、著しい頂底方向のリッジがある独特な歯列。この新材料によりマーストリヒチアンのドロマエオサウルス科を初めて系統解析のフレームワーク内に入れることができる。系統解析から、Acheroraptor は、Dromaeosaurus、Saurornitholestes および他のどの北米産分類群よりも、 Tsaagan や Velociraptor を含むアジアのドロマエオサウルス科に近縁なヴェロキラプトル亜科であることが示唆される。ランシアンのTyrannosaurus–Triceratops 相の一部として、 A. temertyorum は最後に現れたドロマエオサウルス科である。その関係と出現から、白亜紀後期のアジアと北米の複数の双方向の動物相の交流を含む歴史生物地理学的シナリオが示唆される。
David C. Evans, Derek W. Larson & Philip J. Currie (2013)
A new dromaeosaurid (Dinosauria: Theropoda) with Asian affinities from the latest Cretaceous of North America.
Naturwissenschaften (advance online publication)
DOI: 10.1007/s00114-013-1107-5 アブストラクト
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