鳥盤類恐竜の歩行:3次元計算モデルを用いた評価

鳥盤類恐竜の祖先は2足歩行でしたが、その中で独立して3回、4足歩行に移行した分類群が現れます。この論文では主要な骨盤運動筋モーメントアームの3次元計算モデルを使い、移行過程を検討評価しています。

筆頭著者、Susannah C. R. Maidment のホームページを見ると、「私は、比較解剖学や筋肉の再現、四肢骨スケーリング、運動筋肉モーメントアームと重心の計算モデルなど様々なテクニックを使用して、鳥盤類恐竜における2足から4足への移行、そして、彼らが4足になったかもしれない理由をを検討する。」という趣旨が書かれています。こんな視点の研究です。

アブストラクトほにゃ訳

 鳥盤類恐竜は元々ものを握るのに適応した前肢をもつ2足歩行だったが、このクレード中で4足歩行は独立して3回進化した。鳥盤類以外では、2足歩行の祖先から4足歩行へは僅かに2回進化したが、これは四肢動物の進化史で最も稀な運動器官の移行となっている。これらの移行に伴う骨学的および筋学的変化は、最近わずかに文書化されたが、これらの変化の生体力学的な結果は、検討されずに残っている。私たちはまず、絶滅動物の移動を理解するために、これまでのアプローチをレビューするが、現生動物のアナロジー即ち、四肢骨スケーリングおよび計算アプローチを用いて、それらは大きくフォーム機能のアプローチに分けることができる。次に、2足歩行と4足歩行の鳥盤類恐竜で運動筋機能の変化を定量化する最初の体系的な試みを行っている。私たちは、主要な骨盤運動筋モーメントアームの3次元計算モデルを使用して、4足と2足歩行分類群間で、そして三大鳥盤類の系統(装盾類、鳥脚類、周飾頭類)を表す分類群の中で、個々の分類群間の類似点と相違点を調べる。私たちの結果から、ケラトプス科の Chasmosaurus と鳥脚類の Hypsilophodon は、殆どの筋肉および機能のために比較的低モーメントの腕をもち、おそらくこれらの分類群の貧弱な運動性能が示唆されている。4足歩行は2足歩行より高い外転モーメントの腕を持つが、私たちは、それはモデル化した4足動物全体の幅広い体によるためであることを示唆する。2足動物より4足動物において、より拡張された股関節角度と下内側内転モーメントアーム時に伸展モーメントアームのピークがあるが、それは、4足動物では、より円柱状の後肢をしていることと、外側から肢を支持する形態としての内旋の喪失に起因するのかもしれない。我々は鳥盤類全体にわたるモーメントアームの進化の傾向を識別することができなかったが、それは鳥盤類の2足歩行の祖先が4足歩行への発展を、限られた数の機能的経路を介して制約しなかったことを示唆する。機能解剖学は、系統よりもモーメントアームに大きな影響を与えているように見え、そして個々の分類群と個々のクレードの間で識別された差異は、異なる環境で生きていくために、またはクレード固有の行動に必要な運動性能の違いに関連しているのかもしれない。

Susannah C. R. Maidment, Karl T. Bates, Peter L. Falkingham, Collin VanBuren, Victoria Arbour and Paul M. Barrett (2013)
Locomotion in ornithischian dinosaurs: an assessment using three-dimensional computational modelling.
Biological Reviews (advance online publication) DOI:  10.1111/brv.12071

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