中国貴州省Guanling(関嶺)生物群からは14個体のギョリュウ標本が産出し、かつてそれぞれ別種として記載されていました。しかし、Shang et al.(2012) により全て Shastasaurus tangae 同一種とされました。この論文ではさらに加わった2標本を含め、その性的2形性を研究しています。
この論文では、Shastasaurus tangae 標本をタイプAとタイプBに分けています。両者のグループ分けのため、まずヒレの違いを比較しています。比較的細長く、付加的な指列の骨がないものをタイプA、対し、比較的短く幅広く、付加的な指列の骨があるものをタイプBとグループ分けしています(他の特徴もあります)。
次に、グループ分けした標本の、体の他の部位を比較しています。頭骨を見ると、タイプAの頭骨は比較的がっしりしていて、頭頂骨矢状稜の分岐角度が50°以上なのに対し、タイプBの頭骨は比較的細く、頭頂骨矢状稜の分岐角度は30°前後。頭骨/吻部の比はタイプAでは約1.58、タイプBでは約1.49。頭骨長はタイプAでは76.5から92㎝、タイプBでは61から96㎝。体サイズの相違は主に頭骨の違いに一致するそうです。
また、胴体と尾部の長さを比べると、タイプAはタイプBより比較的長い胴体と短い尾部であるそうです。他の水生爬虫類の例から、オスの方がメスより長い尾をもつことが知られています。
これらから、タイプAをメスの個体、タイプBをオスの個体と推定しています。
SHANG Qing-Hua, LI Chun.(2013)
The sexual dimorphism of Shastasaurus tangae (Reptilia: Ichthyosauria) from the Triassic Guanling Biota, China
Vertebrata PalAsiatica,Vol.51,2013 pp.253-264 論文
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