中国遼寧省から産出した基盤的真鳥形類、Hongshanornis longicresta の新標本により、完模式標本よりさらに、その形態、栄養生態およびエアロダイナミクスが明らかになっています。
新標本の産出地と層準:中国遼寧省凌源市近郊のDawangzhangzi(大王杖子)発掘地。Yixian(義県)層湖水堆積層。
新標本(DNHM D2945(スラブ)とD2946(カウンタースラブ)) と完模式標本には、完模式標本(IVPP V14533)が全く平面的になっているのに対し、新標本はより立体的であること。また新標本では尾部も含め、羽毛の痕跡が明瞭に残っていることなどの違いがあります。
新標本に残された羽毛痕跡から、その翼開長は約0.32m、左右翼と胴を含めた翼領域面積は0.016㎡であることがわかりました。これは、推定体重42gに対し、現生鳥類に相当する空力特性があるということです。また、尾羽は少なくとも10枚の羽で構成され、扇状に広がっていたことがわかりました。この尾羽の枚数は、これまでに記載された他の真鳥形類Yixianornis
grabaui (最小8枚)、Piscivoravis lii (少なくとも6枚)より多くなっています。尾羽について、現生鳥類に相当する空力特性をもっていたとしています。
なお、新標本から胃石(1.71mm~3.08mm)が11個確認されています。砂粒を摂取する習性が基盤的真鳥形類にあった明確な証拠とされています。胃石の役割はいろいろありますが、固い食物の消化を助ける役割を持っていただろうとしています。また、原記載論文では歯はないとされていたと思いますが、この標本では上顎骨に5個の歯の印象が明瞭に保存され、2個から4個の断片的な歯が歯骨に保存されています。上下の顎に歯があったことから、これまで考えられてきたより栄養生態的に特殊化していなかったとしています。
アブストラクトほにゃ訳
著しく長い後肢のプロポーションをもった小型の真鳥形類、Hongshanornis longicresta の発見は、2つの近縁種、Longicrusavis houi と Parahongshanornis chaoyangensis の発見により追従された。共にホンシャノルニス科を形成するこれら標本は、全ての現生鳥類が属する真鳥形類の初期分散と形態的特殊化について重要な情報をもたらす。ここで私たちは、Hongshanornis longicresta に比定できる新標本(DNHM D2945/6) を報告するが、それらはホンシャノルニス科の分類学だけでなく、形態、栄養生態環境および空気力学を理解するために、重要な情報を提供する。最も注目すべきことは、DNHM D2945/6 の良好に保存された翼と羽毛のある尾だが、それらは空気力学的なパラメータの正確な復元をもたらすものだが、それは早くも1億2500万年前に基盤的真鳥形類は、現生の多くの鳥類にサイズとデザインで相当する空気力学的表面を進化させ、小型現生鳥類のいくつかと同様の飛行モードを進化させていたことを示している。
2014)
(A new specimen of the Early Cretaceous bird Hongshanornis longicresta: insights into the aerodynamics and diet of a basal ornithuromorph.
PeerJ 2:e234
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