太古の哺乳類展ー日本の化石でたどる進化と絶滅ーは、国立科学博物館で7月12日(土)から10月5日(日)まで開催されます。それに先立ち、7月11日にプレス内覧会が開催されました。パンテオンも取材に参加してみました。
先日、組立が公開されたナウマンゾウの「家族」。すっかり周囲の飾りつけもおわり、堂々としています。あれから数日で展示が整ったのは、夢のようです。
実は、これまで(こんどの特別展は恐竜ではなく哺乳類、しかも日本産だけか…)と、展示内容にあまり期待していませんでした。ところが、展示を見ると、貴重なタイプ標本があちらにもこちらにも!日本唯一の標本も!展示標本のうち、実骨標本でないものを探すほうが大変なくらいです。よくまあ日本中からこれだけ集めてきたものだと、あきれるばかりです。
それに面白い!中生代から現代日本の哺乳類まで9つのゾーンに分かれます。その中で選ぶとすれば、ゾウの楽園&ナウマンゾウの世界とデスモスチルス類の世界でしょう。それに1つ加えるとすれば、恐竜とともに生きた哺乳類です。ゾウが楽園ならデスモは天国と言っていいくらいの充実です。入口すぐで、標本が小さいので見落としがちですが、恐竜の時代、中生代の哺乳類も絶対注目です。
恐竜とともに生きた哺乳類
このゾーンで展示されている標本はわずかに6点。しかし、そのすべてがタイプ標本、つまりその標本に基づいて論文が書かれ、学名が公になったものなのです。これはすごいことですよ!入口の展示からこれですから。
写真は、発表当時「かわいくないのにカワイイ」と話題になったササヤマミロス カワイイ。
これがこのゾーンの標本では最大でしょう。他はミリ単位になるかも。そこで、CTスキャンと3Dプリンターで15倍に拡大した模型が一緒に展示してあります。とても精巧にできています。
このゾーンの主な標本
デスモスチルス類の世界
5番目のゾーンでは、デスモスチルス類(束柱類)が展示されています。ここは見るだけで感動です。何しろ全身骨格が6体、骨格の手前のケースに実物標本もあるのですから。写真の撮りがいがあります。骨格の後ろ何やら壁についているでしょう、これは般若標本と大野原標本の産状です。飾りじゃないのですよ。
デスモスチルス類の世界 主な標本
ゾウの楽園
中新世の終わりごろ(約530万年前)に当時中国に生息していたツダンスキーゾウと同じ種類か、ごく近い種類が日本にやってきて、その系統(ステゴドン属)が日本で進化を続けたそうです。
ミエゾウやアケボノゾウの系統ということです。
一方、約100万年前以降に別の系統のゾウが大陸から渡ってきました。その中で最も繁栄したのがナウマンゾウということです。いろいろなゾウが繁栄したという意味で、「ゾウの楽園」と名付けられています。
ゾウの楽園の主な標本
ナウマンゾウの世界
「家族」ではなく、大腿骨。これらは、瀬戸内海の海底から引き上げられたもの。上腕骨も同様に並んでいます。性別や年齢からなのか、一つ一つに違いがあります。さらに通路には約1歳から約57歳まで、いろいろな年齢の臼歯が展示されています。6本目の臼歯のあとは、もう歯がありません。天寿を全うすることになります。
ナウマンゾウの世界の主な標本
やっぱり、ミュージアム・ショップですよね!
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