10月19日、国立科学博物館で開催された、特別展「大英自然史博物館展」記者発表会に行ってきました。
同展は2017年3月18日(土)~6月11日(日)開催されます。8000万点の所蔵標本から厳選した370点あまりが公開されます。公式サイト
まず、篠田謙一副館長兼人類研究部長から展覧会概要説明がありました。 展示総数は370点あまり。うち常設展に出ているものは17点で、大部分は英国人も見たことがない標本。ストーリーに沿った最も適切な標本の選択。多くの標本に興味深いストーリーがあるとのことです。
次に見どころの紹介がされました。
①「始祖鳥について」真鍋真標本資料センター コレクションディレクター
もちろん始祖鳥ロンドン標本の紹介ですが、説明は1822年のマンテルによるイグアノドン歯化石の発見から始まり、ダーウィンが1872年、「種の起源」に始祖鳥の項を加えたこと。1877年、「ダーウィンのブルドッグ」といわれたトマス・ハクスレーの講演の中に恐竜が羽毛を持っていたらどう呼ぶかという事がでていたこと。1996年の羽毛恐竜発見。2004年の始祖鳥の脳の研究(脳と三半規管は鳥類的)、はばたきのための胸筋の発達、2011年、ロンドン標本が始祖鳥のタイプ標本になったこと(第2標本だが、第1標本は羽毛1つだけ)、そして2016年現在、始祖鳥は最古の鳥類なのか、恐竜なのか。飛べたのか。喧々諤々の議論がされていることまで紹介されました。
②「大英自然史博物館と日本」 河田信一郎動物研究部研究主幹
江戸期から昭和まで記載された日本の動物(江戸期はもちろんオランダ)、明治以降、お雇い外国人や外国の金持ちが日本から標本を持ち帰ったり送ったりしたことなど、個々の人物のエピソードを交え紹介しました。
資料によると、見どころを6つのカテゴリーに分けています。
1 科学誌を塗り替えた学術標本
始祖鳥ロンドン標本、ダーウィンの「種の起源」直筆原稿とガラパゴスのフィンチ、リチャード・ オーウェンが存在を予言した、モアなどです。
2 世界への探検が遺したもの
1872年~1876年、イギリスの軍艦チャレンジャー号が日本の江ノ島沖で採集したソコクロダラ、南極でみつかった裸子植物の葉化石グロッソプテリス、ビーグル号の航海で採集された標本など。
3 日本から渡った標本
輝安鉱、ニホンアシカ、など
4 嘘と呪いとミステリー
イギリスの探検家チャールズ・ドーシーによって、アラビアのロレンスに与えられた、ダチョウの卵、呪われたアメジスト、ピルトダウン人の頭骨片と下顎骨など
5 自然史研究を支える書籍や資料
ウィリアム・スミスの地質図、「アメリカの鳥」、ブラシュカ父子のガラス模型など
6 博物館の歴史に名を刻んだ人々
大英博物館の元となったハンス・ローレン卿のコレクションから、31.5カラットのサファイア、メアリー・アニングが発見した魚竜標本など
質疑応答で、始祖鳥以外の古生物標本について質問したところ、真鍋先生からマンテルのイグアノドン、バリオニクス、メアリー・アニング発見の魚竜が展示されるとのお答えがありました。
最後はフォトセッション。会場に展示された標本は、 オーデュボンの「アメリカの鳥」複製版(雄松堂)、イグアノドン歯と500年前のロンドン塔に住んでいたライオン頭骨(3Dプリンタで作成したレプリカ)。レプリカ2点は会場特設ショップで販売するそうです。歯は現地では150ポンドとのこと。いい出来です。 公式サイトはこちらです。 http://treasures2017.jp