世界遺産ラスコー展~クロマニョン人が残した洞窟壁画~

ラスコー洞窟「身廊」 大きな黒い牝ウシ
ラスコー洞窟「身廊」 大きな黒い牝ウシ

東京、上野の国立科学博物館で2016年11月1日(火)~2017年2月19日(日)に開催される、特別展「世界遺産 ラスコー展 クロマニョン人が残した洞窟壁画」内覧会に行ってみました。

一口で言うと、これはスゴい!ふだん恐竜展もっぱらの私ですが、これは人類の遺産として優れた価値があることが、理屈抜きで伝わってきました。以下、展示に沿ってそのいくつかを紹介してみます。

なお、詳細および最新情報は、本展の公式サイトでご確認をお願いいたします。

古代人類の復元を専門とするフランスの芸術家エリザベット・デネスが、研究上の解釈に基づいて製作した等身大のクロマニョン人。ボディペンティング、豊富なアクセサリー、高度な裁縫技術
古代人類の復元を専門とするフランスの芸術家エリザベット・デネスが、研究上の解釈に基づいて製作した等身大のクロマニョン人。ボディペンティング、豊富なアクセサリー、高度な裁縫技術

 入口からすぐの壁龕に目立つのが、この親子とおぼしき像。私たちはここでクロマニョン人が同じヒトなんだと実感する。世界のどこかで今生きていても不思議はない。同じホモ・サピエンスだったと知る。

 次のコーナーには、何やら不定形の白っぽい立体物。これらはラスコー洞窟の縮小3Dプリント。ラスコー洞窟の壁画は、いくつかの小空間に分けられている。1牡牛の広間、2軸状ギャラリー、3通路、4身廊、5ネコ科の部屋、6後陣、7井戸状の空間。

それぞれのどこに壁画が描かれているのか概観できる。また周囲に絵具となった顔料などの材料や道具の展示もある。ここで特筆すべきは、石製ランプ。井戸状の空間から出土し、スプーン形をしている。これに灯をともし、壁画を制作したのだろうかと、空想が広がる。

井戸状の空間 井戸の場面 長い槍で腹を引き裂かれたバイソンが尻尾を上げ、ヒトに向かって角を突き出している切迫した場面
井戸状の空間 井戸の場面 長い槍で腹を引き裂かれたバイソンが尻尾を上げ、ヒトに向かって角を突き出している切迫した場面

 いよいよ、洞窟壁画だ!

ここには、傑作が並び特徴的な技法で描かれた「身廊」の壁画群と、最も謎に包まれた「井戸の場面」の壁画が復元されている。教科書で見たあの壁画!と記憶がよみがえる。しかも、写真の平面ではない。洞窟の起伏そのままに復元されている。動物そのものより絵は小さいが、受ける印象は大きい!

体をなめるバイソン ラ・マドレーヌ岩陰遺跡(フランス) 2万年~1万4500年前(マドレーヌ文化) フランス国立考古学博物館(サン=ジェルマン=アン=レー)所蔵
体をなめるバイソン ラ・マドレーヌ岩陰遺跡(フランス) 2万年~1万4500年前(マドレーヌ文化) フランス国立考古学博物館(サン=ジェルマン=アン=レー)所蔵

クロマニョン人の芸術世界

これがまたスゴい!

角・骨・象牙・石などの素材から、本当に細かい線彫りで驚くほどリアルな動物などを表現している。実用的な道具に彫られたものもあるが、アクセサリーだったのかなと思えるものもある。かれらは思うがままに彫ったのだろうか、それとも入念に下絵を描いてから彫ったおだろうか。頭の中に明確なイメージが浮かんでいたのだろうか。いろいろ想像させられる。

このようなものを見ると、クロマニョン人は何と創造的な人たちだったのだろうと驚嘆する。まだ食べることだけで精いっぱいな時代だろうに。2万年前のクロマニョン人の営為に頭が下がる思いがした。

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リンク

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