巨大化の道を辿った恐竜では、その重量を支えるために椎骨の関節が発達しています。一方、偽鰐類にも同様な関節があると報告されているものもありますが、恐竜に比べ材料が少ないため、詳細な研究はあまりなされていないようです。この研究では、ホロタイプと新発見の材料を使ってその研究をしています。
アブストラクトほにゃ訳
Poposaurus langstoni(偽鰐類、ポポサウルス上科)の軸骨格と偽鰐類主竜類における副椎間関節の意義
地球史上、恐竜とその近縁は、他のどの陸上生物よりも大きいサイズに成長し、多くの巨大な恐竜(例えばディプロドクス、スピノサウルス、ティラノサウルス)では、その巨大なサイズを支えるために、副椎間関節があったことが示唆されている。いくつかの偽鰐類主竜類では、同様にこのような関節を持っていると報告されているが、恐竜に比べ、完全な立体の偽鰐類椎骨の材料は乏しいため、これらの分類群ではごく少数しか形質化されていない。我々はテキサス州上部三畳系(TMM Locality 31025 of the Otis Chalk localities; Dockum 層群, Howard 郡, テキサス州, USA)産出の、大型(∼4–5 m) 偽鰐類ポポサウルス上科、Poposaurus langstoni の軸椎を記載する。P. langstoni は最初、腰帯要素および椎骨から命名された。ここでは、1940年代に行われたホロタイプの発掘から新たに発見され、用意された前仙椎および前仙椎肋骨を記載する。良好に保存された椎骨には明確なラミナ(※板状の構造。薄層)および明瞭な次楔状突起-次関節腔の椎骨間関節を有する、偽鰐類の形質の状態として言及されるが滅多に記載されない。新材料から、脊柱を通して次楔状突起-次関節腔の変化が示される。我々は、次楔状突起-次関節腔の有無にかかわらず、これらの形態を他の偽鰐類と比較した。これらの慎重な比較に基づいて、我々は主竜類間で適用される次楔状突起-次関節腔のための明確な診断基準を提供する。我々は、偽鰐類内において次楔状突起-次関節腔は独立して少なくとも2回登場したことを発見したが、クレード内で祖先状態で保有していたこれらの構造が失われたのも発見した。さらに、大型化(大腿骨長>∼300 mm)および次楔状突起-次関節腔の出現は、僅かの例外を除き、殆どの非鰐形類、偽鰐類主竜類と相関している。この結果は、次楔状突起-次関節腔の存在が体サイズの増加および減少により制約され、厳密に継承しないことを示唆する。