東京、上野の国立科学博物館で3月21日(木・祝)から6月16日(日)まで開催される、同展内覧会に行ってみました。その一たんを紹介します。なお、公式サイトへはリンクからどうぞ。
会場に入ると、まずアフリカゾウの骨格に驚かされる。足元にはテンレックやケープハイラックス。小動物ではあるが、近縁ということなのでしょう。そして周囲を見ると、様々な骨格標本がズラリ!
このコーナーは、ロコモーション(移動様式)をテーマにしています。考えてみれば、哺乳類ほど多様なロコモーションを発達させた生物はいない。ただ歩く・走るだけでも指行性のものから掌行性のもの、蹄をもつもの、枝わたりをするサル、空を飛ぶコウモリ、水中を泳ぐ鯨類・・・それぞれを表現する骨格標本を子細に見ると、時間が飛ぶように流れてしまいます。
骨格標本のコーナーを曲がると、おおっ これは!見どころの1番目にあげられる、哺乳類大行進です。約200種の剥製標本を一堂に展示している。最初はその量に圧倒されますが、落ち着いて手前の説明を読むと、哺乳類の分類群ごとに展示してあるのがわかります。例えば手前右側に有袋類がいるのがわかるでしょう。ただ何となく並べたものではありません。また、大きい剥製だけでもないのです。例えばトウキョウトガリネズミのような、極小の剥製も展示されています。そういった意味で、いろいろな角度から楽しめる展示です。
哺乳類大行進の一番奥には、ひな壇状に角のある方たち。(ああ、ここは角のある方たちのコーナーなんだね)と、左右を見渡すと、右端には吊られたクジラの骨格!これに違和感を覚える方も、きっといるでしょう。でも、分類上かれらは鯨偶蹄目という、同じ仲間なのです!
頭ではわかっていても、実際に展示で死見せられると、大きさや見た目のあまりの違いに驚いてしまいます。驚くこと、驚異こそ博物館展示の源流であったことを思えば、この展示は本当に素晴らしいものです。
「歯やあごは、食べるものに適した形に進化してきました。」そうだろう。わたしも古いCMをもじって「哺乳類は歯が命」と書いてきました。ところが、博物館の収蔵庫でも、こんなに沢山の歯と顎を拝めることは、まず考えられません!哺乳類の分類群と、植物食・肉食・雑食などの食性を組み合わせて、数えきれないほどの上下の顎と歯が展示されているのです。もし、わたしが哺乳類の研究をしている学生だったら、このコーナーだけで一日を過ごしてしまうでしょう。
普通の方にも、食べるものによってこんなに歯や顎が違うことを感じ取れるのではないでしょうか。
この写真に写っているもの、何だかわかりますか?
ヒントは、多くの哺乳類にあって、ヒトにないもの。尻尾? いや、違う。正解は、陰茎骨といって、要するにペニスの骨なのです。さて、このコーナーには、陰茎骨のほかペニスそのものも展示されている。動物のものでも、見たくないという方は、バビルサの頭骨や、イッカクの角(実際は歯)も展示されているので、ご安心あれ。
シカやマレーバクのコドモの斑点模様のように、親子で毛色を変えて目立たなくしています。このコーナー、わたしからのおすすめは、ツチクジラのコドモの剥製。なかなか見られるものではありませんよ!
展示を出ると、お楽しみはショップですね。公式図録のほか公式グッズも多く、目移りするほどです。ゆっくりお選びください。