黄色い本! 黄色いカバーは、まず見かけない。そこに、数種の放散虫写真。
題名がひらがなだから、子ども向けの絵本なのだろう。
ページをめくる。フンフン、そうね。 1ページ目をめくると・・・!息を呑む。
いちめんのほうさんちゅう。 丸いのやら、細長いのやら、角がついたのやら
夜の降雪を見ると、とても幻想的な感じがする。しかし、一様な雪片にくらべ、この多様さはなんだ!幻惑される、写真の中に吸い込まれそうになる。
気を取り直してさらにページをめくる。でんしけんびきょうで500倍して、この大きさなのか。めくるごとに新しい形のほうさんちゅう。こんなに複雑で美しい形をどうやって作ったのだろう。角やとげは何の役にたつのだろう。落花生のような殻。教皇の三重冠よりはるかに重なる冠。編んだのだろうか、穴をあけたのだろうか、びっしりと穴の並ぶ曲面。
モノトーンの写真が、かえって想像を育む。
そして、不透明な白っぽいものと思い込んだほうさんちゅう、最後のページでどんでん返し!
巻末には「放散虫のおはなし」として、科学的な説明がある。子ども向けにやさしく書いてあるが、基本を押さえている。
わたしのような大人でさえ、放散虫の美しさ、造形の巧みさに驚かされるのだ。まして感受性が豊かな子どもは、どう受けとめるだろう。一生こころに刻み込まれる、いや、こころに積もってゆくに違いない。子どもと子供の心を持っている大人に薦めたい。