2019年夏に国立科学博物館で開催された「恐竜博2019」。
それから3年半、2023年に「恐竜博」が帰ってきます!
本展では、鎧竜史上最高の完全度と謳われるズール・クルリヴァスタトルの実物化石を中心に、身を守るためにトゲやプレートを進化させた装盾類(そうじゅんるい:剣竜と鎧竜の総称)の進化について解説しながら、恐竜たちの「攻・守」という観点から恐竜の進化を読み解きなおします。
「守」を代表する恐竜として取り上げるのが、アンキロサウルス類の鎧竜・ズールです。
その実物化石はカナダ・ロイヤルオンタリオ博物館(ROM)以外では初公開となります。
ズールは、頭骨から尾の棍棒まで揃って、アメリカの約7600万年前の地層から発見されました。アンキロサウルス類では初の事例です。
全長約6mもあり、アンキロサウルスと肩を並べる最大級の鎧竜です。
本展では、鎧竜類に特徴的な頭部から背中を覆う装甲、尾の棍棒までを展示します。
「攻」を代表する恐竜としては、ズールと同じ時代に生きたゴルゴサウルス(ティラノサウルス類)の全身復元骨格もズールの全身復元骨格と相対するように展示。
当時の恐竜たちの「攻・守」を臨場感ある展示で体感いただきます。
また、2020年に国立科学博物館とアルゼンチン自然科学博物館との共同調査チームが発掘し、2022年に新種と発表された、
南半球の頂点的存在だったといわれる肉食恐竜マイプ・マクロソラックスを、白亜紀最末期に北半球の生態系のトップにいたティラノサウルス・レックスなどと対比させながら紹介。
「攻・守」を切り口に、最前線の研究や、恐竜絶滅の謎に迫ります。
今からおよそ2億3000万年前の中生代三畳紀、最初期の恐竜は全長1mくらいの肉食だったと考えられています。
その中から豊富な資源である植物を主食とする恐竜が出現し、恐竜の形や大きさに多様性が生まれました。
本展では、究極の防御のためにトゲやプレートを進化させた装盾類の進化、そのような進化に対抗しなくてはならなかったさまざまな肉食恐竜たちの進化を比較しながら、恐竜たちの「攻・守」をキーワードに、恐竜学の最前線を解説します!
ズール・クルリヴァスタトル(Zuul
crurivastator) 属名の由来:映画『ゴーストバスターズ』に登場する門の神「ズール」。 〈種小名〉脛の破壊者 分類:鳥盤類 鎧竜類 アンキロサウルス類 時代:白亜紀後期 産出地:アメリカ・モンタナ州 推定全長:6m |
ゴルゴサウルス・リブラトゥス (Gorgosaurus libratus) 属名の由来:恐ろしいトカゲ 分類:竜盤類 獣脚類 ティラノサウルス類 時代:白亜紀後期 産出地:カナダ・アルバータ州 推定全長:9m |
肉食恐竜から身を守るためのトゲトゲした骨質のウロコからなる装甲、肉食恐竜の骨を破壊するような強力な棍棒をもつ尾が特徴。
「クルリ」はラテン語で脛、「ヴァスタトル」は破壊者を意味しており、長さ3mもある尾の先にある推定7kgの棍棒を振りまわすと、ゴルゴサウルスの脛をも破壊する威力があったと考えられています。
1個体で頭骨から尾の棍棒まで発見されたのはアンキロサウルス類で初めて。
その完全度、保存状態の良さから、鎧竜の進化を解明する大きな手がかりのひとつとなる恐竜です。
頭骨から尾の棍棒までを、生きていた時の姿のように観覧できる展示手法に世界で初めて取り組みます。
ズールと相対したゴルゴサウルスなどのティラノサウルス類は、白亜紀後期に急激に大型化し、アジアと北アメリカの生態系で食物連鎖の頂点に上り詰めました。
本展では、ゴルゴサウルスや史上最重量個体のティラノサウルス「スコッティ」などから、恐竜の「攻」の進化に迫ります。
ティラノサウルス・レックス (Tyrannosaurus rex) 属名の由来:暴君トカゲ 分類:竜盤類 獣脚類 ティラノサウルス類 時代:白亜紀後期 産出地:カナダ・サスカチュワン州 推定全長:13m |
本展監修者の真鍋真(国立科学博物館 研究調整役 兼 副館長)らの調査隊によって、2020年にアルゼンチンで発掘され、2022年に新種として命名された肉食恐竜。
推定全長9mはメガラプトル類の中で最大級であり、白亜紀最末期の種だと考えられるマイプ。
この発見により、北半球の王者ティラノサウルス類に対して、南半球ではその座にメガラプトル類がいたその可能性が高くなってきました。
マイプ・マクロソラックス(Maip
macrothorax) 属名の由来:アルゼンチンに伝わる冷たい風で人間を遭難させる悪霊の名前 分類:竜盤類 獣脚類 メガラプトル類 時代:白亜紀後期 産出地:アルゼンチン・サンタクルス州 推定全長:9m |
1914年に開館し、北米の文化施設のトップ10に入る、カナダで最大かつ最も総合的な博物館です。
1300万点を超えるトップクラスの美術品や自然史標本が収蔵されており、40のギャラリーや展示スペースで紹介されています。
同館は、恐竜をはじめ化石発掘の野外調査を実施する屈指の研究機関として、またコレクションに基づく博物館研究の国際的リーダーとして、芸術、文化、自然界に対する我々の理解を深めるために極めて重要な役割を果たしています。
100年以上にわたり行われている古生物学の野外調査で世界的に重要な恐竜やその他の化石のコレクションを収集、収蔵し、その成果は世界最高水準の古生物学ギャラリーで見ることができます。
<東京会場>
<大阪会場>