国立科学博物館で2024年3月16日(土)から6月16日(日)に開催される特別展「大哺乳類展3―わけてつなげて大行進」を開催しています。3月15日に開催された内覧会から、内容を紹介します。
この特別展では、「分類(=わける)」と「系統(=つなぐ)」をテーマにし、見た目や内部の特徴、DNAなどをもとにグループ分けし、それらの関係性をつなぎあわせることで浮かび上がってくる哺乳類の不思議に迫るものになっています。
会場の展示構成は、「第1章 哺乳類とは」 から、「第4章 哺乳類の分け方―過去から未来へ」 まで順序だてたものになっています。また、監修者は川田伸一郎先生と田島木綿子先生。専門はモグラと鯨類。それらの展示がどう扱われているかも興味をそそられます。
第1章では、「分類(=わける)」と「系統(=つなぐ)」をテーマに、哺乳類の共通特徴を紹介しています。ヒトを含む哺乳類の生物学的な側面に迫り、内部の特徴やDNAをもとにグループ分けし、その関係性を探ります。オウギハクジラ属クジラ4種の歯やモグラ6種の骨盤骨など、監修者の専門知識が光る展示があります。さらに、シロナガスクジラの心臓実物大レプリカも驚きです。
まず目をひくのはレオポンの剥製。ヒョウ(父)・ライオン(母)も共に展示してあります。これは繁殖力のない雑種であり、つまりヒョウとライオンは別種という例なのです。
一見地味だが注目すべきなのは、食虫目の分類と解体。形態のみの分類ではひとつの系統でしたが、DNA解析からテンレックやキンモグラなどはアフリカ獣類の別系統であることが明らかになったことが示されています。さらに鯨目と偶蹄目の統合に展示は続きます。今では鯨偶蹄目とされていること、共有する特徴として距骨(クジラにも化石種にはある)とペニス(双方とも一突き型)の展示があります。
展示としては、ここがメインになります。剥製標本約200点が分類ごとに並び、外見の似ている点や異なる点を目で見て楽しめる「大行進」が展示されています。さらに骨格標本も数多く、骨好きにはたまらない空間になっています。各分類群ごとの特徴を観察できる「実物哺乳類図鑑」になっています。数か所にある「見た目にだまされるな」似ているけど違う動物たちも見逃せません。この章の展示で数時間楽しむことができるでしょう。
第4章では、アリストテレスからダーウィン、分子系統学とその限界までの哺乳類研究の歴史を紹介しています。パネル展示を通じて、分類と系統づけの試行錯誤を理解できます。
ここではまず図録を買うことをおすすめします。これを読めば、見過ごした展示もより深く理解することができます。そのほかいろいろありますが、写真をご覧ください。品物によっては開催初日に品切れになったものもあるそうです。